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●小針 剛(町家倶楽部ネットワーク) |
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1958年東京生まれ。1984年より京都にてフリーカメラマン。現在も出版関係、ドキュメント、風景や古典芸能のお能から舞妓姿まで幅広く活躍中。1995年〜西陣の町家に移住し、町家の保存、活用から町づくりに係わるようになり、人と人
(借り手と貸し手)、人と地域を結び様々な相談を受ける町の仲人としての「町家倶楽部ネットワーク」を友人と立ち上げた。現在までに190件のお見合い=借り手と貸し手を結ぶ事の成立をし、160数軒の遊休町家を現役に戻すことが出来た。 |
【京町家から袋地の再生へ】
袋地の再生
先ず、最近の出来事から書いてみましょう。
ある日、大家さんの一人が知り合いとお話をしたところ、そのお相手も空き家を持っておられたそうなのです。「ウチもお世話になって良かったから小針さんに相談してみはったら?」で、お話しを聞く事に。なんと路地を挟んで
12軒の長屋の持ち主さん。12軒の内、住民のいる家が3軒、物置として3軒、その物置の1軒は大家さんが使っているのですぐに空けるとの事だけどもう1軒の物置はひどい使われ方。あとは言うならば傷んだ家がズラッと並んでおりました。その路地の入り口と奥の部分は他人さんのもの。さぁ壊すのも大変、貸すために全部今風に直すのも大変、どうしたものか・・・とね。しかし大正時代の素敵な格子戸がずらりと並ぶこの姿を大家さんも大事に思っておられて、思い出も沢山なのです。
古い家を借りたときに、その風情が好きな人なら (自分の家やと思って)自分で直しながらも住んでくれようとする人はきっとたくさんいるとお話しをしたところ、その方向で進み始めたのでした。
そこで行政さん (京都市)にちょいとお話 ! この頃になると20世紀の負の遺産という定義から京都にとって大事な住宅へと町家の評価がず〜いぶんと変わって来ておりました
(笑)。「ある路地でとても素敵な事が起きようとしています。きっとマスコミも多くの人も注目してくれると思います。せっかくならスタートから市も一緒に出来る事はないでしょうかね?
!」。そこで、改めて問題の袋地を見てみると、歴史都市の伝統建築のストック活用、住民増加への寄与、若者への支援など様々な要素が含まれているではありませんか。ついには、国土交通省までもOKが出まして全国に先駆けて袋地再生のモデルとして予算も付けてもらえたのです。
2004年、工事の途中にいくつかのトラブルもありましたが、小さな平屋の2軒を1軒にしたり多目的なスペースとして1軒を残したり、まずは
6軒分を募集したところ、30数組のお見合い希望者があったのです。
この工事ではまず11軒の外観の化粧直しや部分的な耐震補強、同じく部分的に内装改修もする事ができ、あらたに災害時の避難路をもう1本確保出来ました。既件の住民さんとのバランスやこれからの路地の姿、楽しい路地になるようにとそれは、持ち主さんにとっても嬉しい悩みだったと思います。
ベンガラ格子有名なそのベンガラを塗るワークショップや、それに伴う掃除や現地公開のお手伝いなどたくさんのボランティアや賛同して下さった方々のお陰もあって、その
6軒には作家さんやデザイナーがアトリエを兼ねて4軒に、「住」をメインにした人が
2軒にそれぞれ無事に決まったのでした。
大家さん自ら施工されましてね、1階の軒下のコンクリートや奥の空き地もキレイになり、片偶に追いやられていた防火川の雨水桝に、隣接している銭湯さんの井戸水を分けてもらって、そこに手動のガッチャンポンプも復活
!入居者のみんなも、それは毎日ホコリを被りながら家の中を大改修。そうなったらまたもや、大家さんも一肌どころか二肌三肌も脱いで、内部改修もお手伝いされたりして、今ではみんなが我が家、我が城として生活を始めてくれてます。
そうそう、最初は皆独身だったのに新婚さんになった人もいましてね、先の往艮の皆さんとも仲良く素敵な路地が五条にあるんです。
【袋地長屋の再生】
京都には1500〜3000の路地があるといわれる。その多くが袋地である。左の写真は、五条駅の近く、六波羅元学区にある袋地だ。この袋地長屋は1間の通路を挟んで東西に50mある。北側は2階建て南側は平屋という構造。北側で13軒の棟があるが、すでに入り口の2軒と奥の3軒は他人のものになっていた。その再生に際しては、京都市の木造住宅振興支援事業と国の都市再生事業を活用した
(修理費の2/3補助)。その要件は防災への対応だったが、万が一の災害時に新たな「避難経路」を設けるために、他人の地所、家屋内を通る事への許可をもらい経路を繋げる事が出来た。互いの壁の一部を蹴破って南側の他人所有の駐車場に出られるようにした。
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●佐藤彰啓(ふるさと情報館 代表) |
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1944年岐阜県生まれ。早稲田大学法学部卒業後、農村雑誌『家の光』編集者として、全国各地の農業問題・農村社会のあり方や地域おこしの仕事に従事。1990年「ふるさと情報館」を設立。現在、「ふるさと情報館」の運営会社である
(株)ラーバンならびに (株)ふるさとネットの代表取締役。田舎暮らしを実現する情報誌『月刊ふるさとネットワーク』発行人。日本の民家の保存再生を図る「NPO法人日本民家再生リサイクル協会」代表理事。農政ジャーナリストの会会員。 |
A.ふるさと情報館の紹介
【設立日的】
田舎暮らしを求める都市生活者に、田舎での暮らし方と地方情報、全国の田舎暮らし向き不動産情報を提供し、田舎暮らしの実現を支援するとともに、都市生活者が地方に移り住むことによって地域活性化を図ることを事業目的に
1990年 10月に設立。「ふるさと情報館」は商号で、事業法人は、不動産事業部門が株式会社ラーバン、出版・情報・コンサル部門が株式会社ふるさとネットで展開している。
【事業概要】
●情報誌『月刊ふるさとネットワーク』の発行
*田舎での暮らし方、地方情報、田舎暮らしし向け物件情報。
掲載物件数 毎月新着物件 70件、合計800件 (北海道から九州まで)
*発行部数13,000部
「ふるさと会員(年間定期購読者)」 11,000名、年会費3,600円(送料・税込)
●不動産販売仲介事業
*仲介物件
スタッフがすべて取材調査
*里づくり (分譲地)
集落に付かず離れずの所に、都会の人々の暮らす里
(分譲地)づくり
*地域店を始めとしたネットワーク
1地方事務所5地域店3駐在(すべての物件を現地スタッフが案内)
*農協、生協との事業協定
地方は農協、都市は生協との事業提携を結んでいる。
●企画・コンサルタント事業
*農村山村交流イベント企画
各種「田舎暮らしセミナー」「田舎暮らしを訪ねる旅」等の開催
「田舎の学校」設立
*田園生活研究所
地方自治体の定住促進事業への講師派遣
「田園住宅」の企画設計
超自然型ライフスタイルの研究 (山梨大学等との共同研究)
●「田園生活体験館」の運営
*八ヶ岳・田舎暮らしの体験宿泊施設の運営
●田舎暮らし実践者の活動支援
*それぞれの地域に、移り住んだ人々のゆるやかなネットワーク組織
(ふるさと倶楽部)をつくり、地元の人々との交流促進を図る
以上の活動を通して、年間平均
350世帯の人々が田舎暮らしを実現し、これまでに
3,000世帯を超える人々が地方に移り住むか
2地域居住の暮らしを実現している。
ふるさと情報館 東京都新宿区四谷 2-12
TEL03-3351-5601 FAX03-3351-5606
http://www.furusato-net.co.jp/
B.NPO日本民家再生リサイクル協会の紹介
【設立日的】
幾世代も風雪に耐えてきた日本の民家が、経済・社会構造や生活様式の変化のなかで、取り壊され、また農村山村のいっそうの過疎化のなかで失われようとしている。
伝統的な日本の住まいは、地元に育った木とその地域の人々の技術で、それぞれの風土と暮らしにあった特色ある民家を形成してきた。民家はいちど滅びれば再び得ることのできない、日本人が創造した「日本の住文化」の傑作といえる。こうした「日本の民家を現代に蘇らせ、次代に引き継ぐ」ために、
1997年 9月に設立。現在、全国で会員は 1600名。建築家、工務店、大工、左官、茅葺職人など民家の保存再生に直接関わる人が約
3割、ほかの 7割は研究者、主婦、会社員、学生など民家に関心のある人々が参加している。
【事業概要】
●情報誌『民家』、会報『JMRA通信』の発行
●イベント・セミナーの開催
*民家再生見学会、まちなみ調査見学会、民家再生探偵団など
●「民家の学校」「民家塾」の開催
*「民家の学校」 (東京)、「民家塾」 (関西、九州)、「住みあい塾」
(中国)
●「民家フォーラム」の開催
●「民家バンク」の運営
*民家提供者と民家に住みたい人を“縁結び”する「民家バンク」の運営
●民家再生に関する相談活動
●民家に関する国際交流活動
【運営】
本部運営委員会 文化企画委員会 民家活用委員会
民家まちづくり調査委員会 民家再生推進委員会
【特別会員】
浜美枝 筑紫哲也 大宅映子 C.W.ニコル 日塔和彦
市毛良枝 柳宗埋 立松和平 林望
NPO日本民家再生リサイクル協会
東京都千代田区六番町 1-1
TEL03-5216-3541 FAX03-5216-3542
http://www.minka.gr.jp/
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